クラスの中を覗いていただけるページです。クラスの様子やできごと、受講生の制作物をご紹介していきます。

2023年12月23日土曜日

個別に対応できる喜び

 こんにちは。レギュラークラス担当の清水裕子です。

今週初めてここで授業を受けられた方が、初日に持って来て見せてくださった作品たちをご紹介します。今までに作られたものを拝見できたらと、こちらからリクエストしてご持参いただきました。

すでにこれだけ素敵なものを作られている方です。内容もバラエティに富んでいて、色使いもとても素敵です。実際に拝見してその素晴らしさに、私を始め皆さん大興奮でした。

ここに習いに来られる方は、当然ながら皆さんそれぞれに習いに来られたきっかけや理由があり、目指すものがあり・・です。全く初心者の方から、かなりの経験者さんまで。また、経験の量はあまりなくても、向学心と行動力とで沢山チャレンジして来られたような方も中にはおられます。

私がお教えする基本的な内容はどなたに対しても同じですが、いつも、皆さんの異なる背景やニーズを頭に置きながら説明しています。課題や宿題を出すときも同様です。私自身、そういう個別対応やその場の流れによる臨機応変な対応に、教える中での大きな楽しみ、喜びを感じています。これも少人数クラスだからこそできることですね。

来年12月にはスタジオ作品展を予定しています。
新たな年も、皆さんと一緒に文字を書(描)き、文字をめぐる話にワクワクできますように。


2023年12月10日日曜日

写本のスペルの確認

写本装飾クラスの小川です。

写本装飾の模写をするときには装飾だけでなく文字も書く場合がありますが、中世の写本の場合ラテン語がゴシック系の書体で書かれていることが多く、i 、m 、n の見分けが難しいです。見たとおりに書くしかないときもありますが、スペルが分かっていた方が書きやすいですよね。ここでネットの出番です。
これはLuttrell Psalter という写本の一部です。Psalter とは旧約聖書の詩篇ですが、詩篇のどの部分かということまでは分かりません。下から3行目がQuoniam tu percussisti と読めるのでそのままネットで検索します。

2023年11月26日日曜日

行間・マージンとの付き合い方

 こんにちは。レギュラークラス講師の清水裕子です。

私の投稿はクリティーク時の話が多いかもしれませんね。それだけ、毎回のクリティークは生徒さんだけでなく講師にとっても気付きの宝庫なのです。これまでも何度か、文字間・ワード間
行間マージン(周囲の余白)の話を載せていますが、今回もこの話を。

 
皆さんの宿題が貼られたボードに、たまたま隣同士で同じファウンデーショナル体の方の文字が並び、空間の取り方によって見え方が違ってくるという話題になりました。練習時に文字間・ワード間のことは意識されても、行間についてはあまり意識されないかもしれませんね。しかし作品を作る際には行間が大きなカギになることもあります。作品制作の過程では、行間を広げたり狭めたりして試すと、きっと新たな気付きがあると思います。

文章を書いた練習のシート

上の画像に、パソコン上で仮に枠を入れてみたもの

またたとえ練習で書いた文章でも、それにマージンの枠を加えるだけで見え方がガラリと変わります。作品制作の最後にマージンをどのくらい取って額装するかに悩む方もおられるでしょう。日頃から「マージンを決める」練習をしておくと、判断する目が鋭くなってきます。

2023年11月12日日曜日

文字を習う順序

ポインテッドペンクラス講師の東井です。

カリグラフィーを習い始めた時、A,B,C順に文字を学ばないことに少し驚き、字体をグループに分けて習うことに、なるほどと思ったことを覚えています。

写真の文字はスペンセリアン体の一つの大文字ですが、この文字も、字体の一部が同じグループに分けてレッスンします。まずは基本となるOを含む丸い文字のグループ、E,C,D, 次は左側がスプーンのような形をした文字、A,M,N, と続きます。文字をグループに分けて練習することは上達への一歩です。さて、アルファベット26文字を習得したらABC順にかいていきますが、同じグループの文字が続くわけではないので、手、腕、そして頭のコントロールが忙しく、思っている以上に難しいものです。小文字についてもabc順に26文字をかくことは難しいです。ポインテッドペンの場合、大文字をつなげて単語をかくことはほとんどありませんが、文字一文字ずつはかけても、単語として、続けて、つなげてかくのが難しいのは当然ですね。 

2023年10月28日土曜日

鹿皮紙(しかひし)に書く

こんにちは。レギュラークラス担当の清水裕子です

皆さん、羊皮紙はご存知でしょうか。古代から中世にかけて書写に使われたもので、羊だけでなく牛や山羊の皮から作られています。現代でも羊皮紙に文字を書き、装飾文字を描くカリグラファーさんは、世界に沢山おられます。そして日本では、近年、鹿の皮を利用した鹿皮紙が作られており、手に入れやすい環境にもなってきました。

クラスにも、紋章と文字の作品作りを鹿皮紙で進めている方がおられます。試し書き用の鹿皮紙に墨で書かれたところを撮らせていただきました。「すごく書きやすいです〜!」とのこと。書かれたイタリックの文字がそれを物語っていました。ちなみにx−ハイトは2mmです。



2023年10月14日土曜日

写本の資料

こんにちは。写本装飾クラス担当の小川百合です。


スタジオの次回作品展が、来年12月開催と決まりました。出展する作品の準備をすでに始めている方もいらっしゃいます。
写本装飾の作品の場合、中世の写本の模写をすることもあります。その場合はいろいろな資料を見ることが大切です。



左はネットで見つけたもの、右はある展示パンフレットの画像です。同じ写本でも色が全く違って見えます。



ネットなども使って細かな部分も確認しながら丁寧に作っていきます。

2023年9月30日土曜日

ローマは1日にして成らず

 こんにちは。レギュラークラス担当の清水裕子です。

 今年2月6日のブログ『レイアウト検討のひとこま』の中でご紹介した方の作品が、今日のレッスンで完成しました。書かれたのはラテン語の格言で、日本語訳は、皆さんもよくご存知の「ローマは1日にして成らず」です。

2023年9月30日撮影

挑戦を始められた当初はレイアウトの案が沢山ありました。その後、「この額に入れる」と先に額を決められてからは、それに合わせたレイアウトに絞り込み、文字のサイズも検討し、清書用の紙とインクを使った練習も積み重ね、根気よく丁寧に進んで行かれました。9ヶ月ほどかけた過程の中で、たくさんの気づきを得られたことと思います。
 

2023年2月4日撮影


2023年9月16日土曜日

お道具

 ポインテッドペンクラス講師の東井です。

SNSにより、最近ではホルダーなどのカリグラフィー道具も入手しやすくなりました。

上の写真は生徒さんのホルダーコレクションです。バリエーション豊かです。自分に合うホルダーを見つけるのも、またホルダーを自分仕様にする(テープを巻くなど)のも文字上達の一つです。
この写真は生徒さんオリジナルの、ペンレストとインクスタンドが一体型になったワイヤー作品とオリジナルのニブケースです。おしゃれで素敵ですね。

これは私の手持ちのニブの一部です。太く大きな文字、普通の太さ大きさの文字、細く小さな文字をかきわけられるように様々な種類のニブがあります。

2023年9月9日土曜日

夏休み明け

こんにちは。

レギュラークラス担当の清水裕子です。 

スタジオの夏休みが終わり、先週土曜日からレッスンが始まりました。この1週間のレッスンで皆さんがクリティーク用に貼られたシートをご紹介します。写し忘れもありますが。カリグラフィー最初のステップを地道に進まれている方、文字を「書く」から「描く」へと領域を広げておられる方、早くも次回作品展に向けた壮大な構想の中を実験しながら進まれている方、何かのワークショップからその続きを発展されている方などなど、皆さんそれぞれです。



クリティークは生徒さん達だけに利点があるのではなく、講師にもとても良い勉強の機会になっていて、毎回沢山の気づきをもらえています。言葉にすることで見えてくることもあり、「文字沼」にいる喜びをお互いにシェアできる貴重な時間でもあります。



2023年8月17日木曜日

夏休み中のスタジオ

こんにちは。

レギュラークラス担当の清水裕子です。
8月はレッスンも夏休みで、スタジオもしばらく静かなままです。スタジオが使い放題のこの時期は長時間の作業ができるので、私はスタジオにこもって先のワークショップ準備に励んでいます。
さて、スタジオ内外には文字グッズや石作品などが並んでいますが、1人静かに過ごせるあの場所でも、文字が訪れる方をお迎えしています。ここも必見ですよ。場所はご想像ください。
鑑賞用の古いカレンダーふたつ。左はチェコの絵本作家、ヨゼフ・ラダのイラスト。右はブルージュのカリグラファー、ヨーカ・ボーデンスのイラスト。8月はちょうどブルージュの素敵なものが文字とイラストで描かれていて、すべて解読したくなるページ。

チェコ、プラハにある古いビール醸造所のサインプレート。 Staropramenが有名。
ダブルクォテーションマークの位置が面白い。



2023年7月30日日曜日

気をつけて利用せねば!

こんにちは。レギュラークラス担当の清水裕子です。

今回は、クリティーク中のある違和感から見つかった、ネット記載情報の落とし穴についてです。

皆さんは、インターネットに載っている素敵なテキスト(名言など)をカリグラフィーで利用されたことはありますか?私はありますが、綴りが間違っていたり、原文と少し違っていたりしたことがあり、確認するのに手間取った経験があります。

1枚目(左)を書かれ、文字間のパラつきを直しながら2枚目を書かれたとのこと。

先日、いつものクリティークで、毎回丁寧に宿題に取り組まれている方のシートを拝見していた時に、不自然なスペーシングがあちこちにあったことに違和感を覚えました。もしやと思い、元のテキストをどこから持って来られたか確認したところ、ネットに載っていたものをそのままの形でプリントアウトされたとのことでした。その紙を見せてもらったところ、タイポグラフィー的にとてもおかしなことになっていました。

ネットに載っていたテキストそのままの形でプリントアウトされた紙。
 

おそらくこの「状態」がその方のカリグラフィーに影響したのでしょうね。そのファイルを送ってもらい、こちらで自然な状態に整えて返送しました。ファイルを開けてビックリだったのは、両端揃えが原因でワード間が広くなっていたのではなく、間に2つや3つスペースが入っていたことでした。

文字を書く以前のこういった点にも注意が必要だということを、この方の経験を通して改めて学びました。一番確かなのは、出版されている本からの引用です。

2023年7月15日土曜日

ケルトの装飾の応用

写本装飾クラス担当の小川百合です。

写本装飾クラスではアイルランドのケルズの書などによく見られる組紐模様の作り方も学びます。慣れるとパズル感覚でハマる方もいらっしゃいます。

 自分の好きなパターンを作っておくと、スキャンしてメッセージカードにしたりといろいろ使えて楽しめます。

受講者さんの作品。クラスのカリキュラムではケルトの装飾の彩色は透明水彩を使うのですが、色鉛筆を使って濃淡を美しく彩色されています。

 

2023年7月1日土曜日

アイトレーニング

ポインテッドペンクラス講師の東井です。

私はクラスでカッパープレート、ビジネスライティング、スペンセリアンの三書体を教えています。ビジネスライティングはモノラインの書体です。カッパープレートとスペンセリアンの大きな違いは、力を入れるポイント、ダウンストロークの一番太くなる場所が異なります。(小文字のo, r, vなど同じような文字もあります。)写真をご覧ください。写真の①はスペンセリアンの、②はカッパープレートの「O」です。じっくり見ないとわからないかもしれませんが、赤い矢印が一番太くなっているポイントです。スペンセリアンは真ん中より上に、カッパープレートは真ん中、あるいは真ん中より少し下に一番太いポイントがきます。

左から、①スペンセリアン ②カッパープレート スペンセリアン大文字「C」

一番右の文字はスペンセリアンの大文字「C」です。面白い形をしていますが、バランスをとるのがとても難しいです。文字の練習をしながら、手本との違いに悩まれたことがある方も多いと思います。
私はスペンセリアンの教則本として、 C.P. Zaner 著『Lessons in Ornamental Penmanship 』1948年版を使用していますがその本の中に、ポインテッドペンだけではなく、すべての書体に共通して言えることが書かれてあったので、一部ですがご紹介したいと思います。

「練習を始める前に、十分にしっかりと注意深く、文字の形を認識、理解する、つまり知覚することが大切です。不十分な認識では不十分な文字しかかけません。私たちは、円や四角形を描きなさい、と言われれば、それらの形をイメージすることができ、描くことができます。同じことがスペンセリアンについても言えます。それぞれのカーブ、オーバル、ラインを心にすっきりと描けるくらいに字形を徹底的に理解し、文字の構成要素が、円や四角形のように本質的になじみのあるものにする。まずはしっかりと文字を見ることです。アイトレーニングは手を動かすことと同じくらい重要です。」

2023年6月19日月曜日

自分の殻を破る

 こんにちは。レギュラークラス講師の清水裕子です。

異なるサイズの平ペンで書いてみたもの。ウェイトの違いで「景色」も変わる。
いくつかの段階を経てここへ。ご自身も何かがつかめてきたご様子。

私のワークショップ(以下、WS)トピックに『書くことの感覚をみがく』というのがあります。このWSは、ペンを初めて持つ人でも受講可能な内容で、「副産物」としてとてもユニークな線、文字、構図が生まれます。その「副産物」をその後自分のカリグラフィーとして育てて行くこともできますが、それにはかなりの経験と判断の目が必要になります。

ご本人が選んだ、好みのウェイトはこれ。ペンはスピードボールのC3。

 この文字を書かれた方は、長年にわたって伝統的な書体を丁寧に書かれてきました。いわば、この写真の文字とは真逆の世界です。「せっかく先生に習っているのですから」と私の頭の中にある物を積極的に吸収しようと思ってくださり、WS受講から数年経った昨年にレギュラークラスでのチャレンジを「決意」されました。着地点は決めず、毎回の進み具合を拝見しながら一歩先の目標を提案しています。こういう教え方ができるのも、定期的に通ってくださっていればこそです。自分の殻を破ろうとされている方のお手伝いはまだしばらく続きます。

2023年6月4日日曜日

Tim Noad氏ワークショップで学んだこと

こんにちは。写本装飾クラス担当、小川百合です。

3月末から4月始めにかけてイギリスから来日されたTim Noad さんのWSに参加しました。写本装飾に関する本も出されている方の間近でその作業を目にすることが出来て学ぶことが多い時間でした。その中で写本装飾の基本になる平塗りでわたしがいつもしているのとは違う方法を教えていただきましたのでご紹介しておきます。
 

レッスンでお伝えしているいつもの塗り方。輪郭を取った後、すぐに絵の具をのせています。

Timさんの方法、wet on wet。輪郭を取った後、水で輪郭の絵の具を溶かしながら表面に水を含ませます。全体がしっとりしたら絵の具をのせていきます。

人によって方法はそれぞれですが、より良い作品を作るために臨機応変に使っていけるといいと思いました。

2023年5月21日日曜日

運筆練習

 ポインテッドペンクラス講師の東井です。

 

 

写真のような連続あるいは密集したオーバルを、スペンセリアンやビジネスライティングの本で見かけられたことがあると思います。他にもいろいろなパターン、形がありますが、これらはスペンセリアンやビジネスライティングを書く時の、腕を使った運筆法に欠かせない練習です。私は文字の練習前のウォーミングアップにこれらをかいています。(密集していない連続オーバルはあまりかかないので下手です。)

先達のペンマンの運筆法を身につけることはとても難しいですが、少しでも近づけたらと思い、静かな気持ちでペンを走らせています。

2023年4月30日日曜日

平筆ローマンのワークショップ1回目

こんにちは。レギュラークラス担当の清水裕子です。

今回は、今週スタートした平筆ローマンのワークショップについてのお話です。

平筆ローマンを教えるのはこれが初めてで、今回は当スタジオのレギュラークラス受講者のみを対象にしています。3日間のコースをそれぞれ2、3週間あけて行うスケジュールで、平日と週末の2クラス、各クラス4名ずつです。

最初はサンセリフの「I」から

1回目は、まずサンセリフで「I」の練習から始め、セリフを付けた「I」へ、そして縦線と横線だけの文字を紹介していき、最後に「T」と、その書き方と関連した「Z」を紹介して、次回の斜線文字へ予告的につなげて終わりました。

椅子にスチレンブロックを置き、座面を高くして書いてもらっています。

参加者は、平筆で文字を書いたことのある経験者からほぼ初めての方まで様々です。皆さん平筆の扱いに苦戦されていましたが、一日が終わる頃には少しずつ理解が深まっている様子が見て取れました。2回目は3週間後です。私が書く手元を撮った動画もネットにアップしてご覧いただける様にしました。それを参考に復習して2回目に臨んでもらえたらと思っています。

講師のデモンストレーション机。立って書いています。

今回はスタジオでの少人数の開催ですが、この先、大きな会場で一般の方にもご参加いただける機会を作りたいと思っています。



2023年4月16日日曜日

久しぶりの満席状態

こんにちは。写本装飾クラス担当小川百合です。

ようやくコロナが落ち着き、クラスの受け入れ人数を増やすことが可能になり、以前よりも振替や追加受講のご希望に沿うことができるようになりました。
この日は小川が説明で席に着くと満席状態。手前のテーブルにはケルトの装飾を勉強中の方に座っていただきました。
している作業はみなさん違うのですが、他の方の作業や作品を見ることもいい勉強になると思います。
 

2023年4月1日土曜日

閲覧・観察も学習なり

こんにちは。レギュラークラス講師の清水です。
今回は、本や資料の閲覧についてお話します。

ベルギーのカリグラファー、ユルゲン・ヴェルケムストのワークショップ用資料を3冊にまとめたブック。実物大のA3サイズ。

スタジオにはカリグラフィー関係の本を中心に、文字関係の資料が沢山あります。一般の本屋さんで買えない、クラウドファンディングでできた本やアーティストが独自に作って販売しているものもあり、レッスン時で紹介するようにしています。

文字のドローイング・ワークショップの資料。鉛筆やファインライナーで描かれており、1ミリ程度の文字から大きな文字まで。スタイルも様々。線が美しく、テクスチャーも楽しめる。

レッスン中にじっくり本を見るか文字を書くかの選択は悩ましいところだと思いますが、見ること、観察することも大事な学習方法のひとつです。最終的には手を動かして身体で覚えねばならないことは言うまでもありませんが、このスタジオにある本を最大限有効活用して、それぞれの上達を目指してもらえたらと思っています。

ご覧になる皆さん。どなたもページをめくりながら驚きの連続です。

2023年3月18日土曜日

墨と彩墨

 こんにちは。レギュラークラス担当の清水裕子です。

今回は、レッスンで皆さんが使われている墨と彩墨のお話を少し。

小さめの普通の硯で擦る方。

スタジオには、レギュラークラスの皆さんが使うインクとしてガッシュ(Gouache)、墨、墨汁を用意しており、皆さんだいたいはガッシュを溶いたインクか、墨を擦ったインクを使われています。墨には彩墨という色の墨(顔料+膠)もあるので、必要に応じて「彩墨を使ってみては」と提案することもあります。普段の練習から、作品作りに使う画材に慣れておくのも大事な経験のひとつです。

カリグラフィー用に作ってもらった硯で擦る方。

墨や彩墨で書いた文字は、ガイドラインを消しゴムで消した時にガッシュよりも色が取れにくく、あとで裏打ちするような場合も滲む心配がありません。また、ガッシュではインクが載らないような表面(蜜蝋を塗ったような紙)にも書けます。

「擦るのが面倒そう」と思われるかもしれませんが、濃さの調節はガッシュよりしやすく書きやすいです。
彩墨は、呉竹や墨運堂などから販売されています。

蜜蝋を塗った紙に、何種類かの赤系の彩墨で色味を試す。彩墨には白い硯を使う。 

2023年3月5日日曜日

時々チェックが必要です

写本装飾クラス担当の小川百合です。

写本装飾では彩色に不透明水彩絵の具(ガッシュ)を使います。

ですが、使おうと思ったらチューブの中で固まってしまっていることもしばしば・・・なので時々チェックしています。固まっているチューブは切って中身は小さなケースに入れて保管。使うときは必要な分だけ梅皿に取り出し、スポイトで水を数滴加えてやわらかく戻して使っています。

 


 

2023年2月21日火曜日

力のプレス、リリース

ポインテッドペンクラス講師の東井です。

カッパプレート体の小文字は、写真にありますように、7つの要素+連結線で構成されています。例えば、②+⑦は「a」、④+⑤は「y」となります。これらも基本のラインですが、①と②の下部、③の上部のようなターンにつながるペン運びがとてもむつかしいです。ターンの頂点はヘアラインで、その頂点に向かい、①はラインをだんだん細くしていく、つまり力を徐々に抜いていく、③は頂点を過ぎたらだんだん太くしていく、力を徐々に入れていきます。これらを力のプレス、リリースと言います。すぐにはかけませんので、文字を練習しながら、プレス、リリースの感覚を身につけていってもらっています。

2023年2月6日月曜日

レイアウト検討のひとこま

こんにちは、レギュラークラス講師の清水です。

先日のあるレッスンで、レイアウトを検討する上で大事な点を、クラスの方の宿題から全員で学ぶ機会がありました。作品のレイアウト案を1枚の紙に何種類も書いて来られた方がおられましたので、それぞれ別々にコピーして貼り出してもらいました。

 
レイアウトを検討する際はマージンも想定して、文字と空間の全体を眺めて吟味することが大切です。つい、文字の辺りだけを見てしまいがちですが、周囲を囲ってみて初めて、最終形(作品として形になる時)の全体的印象が把握できます。また、囲う前には見えていなかった空間が、違和感のある存在になっていることに気付くこともあります。

 
 カリグラフィーには美しい文字も大切ですが、美しい空間を意識することは、文字と同様に(もしかするとそれ以上に)大切です。


2023年1月23日月曜日

大切なツール、細筆

こんにちは。
写本装飾クラス担当の小川百合です。

新しい年になり新たな受講生の方々をお迎えしました。
写本装飾クラスでは細筆が大切なツールです。レッスンではまず細筆に慣れていただくために図案のトレースも細筆を使っていただきます。

 
そして基本の平塗り。絵の具の濃度に気をつけてムラなくマットな仕上がりになるように練習です。