クラスの中を覗いていただけるページです。クラスの様子やできごと、受講生の制作物をご紹介していきます。

2023年7月30日日曜日

気をつけて利用せねば!

こんにちは。レギュラークラス担当の清水裕子です。

今回は、クリティーク中のある違和感から見つかった、ネット記載情報の落とし穴についてです。

皆さんは、インターネットに載っている素敵なテキスト(名言など)をカリグラフィーで利用されたことはありますか?私はありますが、綴りが間違っていたり、原文と少し違っていたりしたことがあり、確認するのに手間取った経験があります。

1枚目(左)を書かれ、文字間のパラつきを直しながら2枚目を書かれたとのこと。

先日、いつものクリティークで、毎回丁寧に宿題に取り組まれている方のシートを拝見していた時に、不自然なスペーシングがあちこちにあったことに違和感を覚えました。もしやと思い、元のテキストをどこから持って来られたか確認したところ、ネットに載っていたものをそのままの形でプリントアウトされたとのことでした。その紙を見せてもらったところ、タイポグラフィー的にとてもおかしなことになっていました。

ネットに載っていたテキストそのままの形でプリントアウトされた紙。
 

おそらくこの「状態」がその方のカリグラフィーに影響したのでしょうね。そのファイルを送ってもらい、こちらで自然な状態に整えて返送しました。ファイルを開けてビックリだったのは、両端揃えが原因でワード間が広くなっていたのではなく、間に2つや3つスペースが入っていたことでした。

文字を書く以前のこういった点にも注意が必要だということを、この方の経験を通して改めて学びました。一番確かなのは、出版されている本からの引用です。

2023年7月15日土曜日

ケルトの装飾の応用

写本装飾クラス担当の小川百合です。

写本装飾クラスではアイルランドのケルズの書などによく見られる組紐模様の作り方も学びます。慣れるとパズル感覚でハマる方もいらっしゃいます。

 自分の好きなパターンを作っておくと、スキャンしてメッセージカードにしたりといろいろ使えて楽しめます。

受講者さんの作品。クラスのカリキュラムではケルトの装飾の彩色は透明水彩を使うのですが、色鉛筆を使って濃淡を美しく彩色されています。

 

2023年7月1日土曜日

アイトレーニング

ポインテッドペンクラス講師の東井です。

私はクラスでカッパープレート、ビジネスライティング、スペンセリアンの三書体を教えています。ビジネスライティングはモノラインの書体です。カッパープレートとスペンセリアンの大きな違いは、力を入れるポイント、ダウンストロークの一番太くなる場所が異なります。(小文字のo, r, vなど同じような文字もあります。)写真をご覧ください。写真の①はスペンセリアンの、②はカッパープレートの「O」です。じっくり見ないとわからないかもしれませんが、赤い矢印が一番太くなっているポイントです。スペンセリアンは真ん中より上に、カッパープレートは真ん中、あるいは真ん中より少し下に一番太いポイントがきます。

左から、①スペンセリアン ②カッパープレート スペンセリアン大文字「C」

一番右の文字はスペンセリアンの大文字「C」です。面白い形をしていますが、バランスをとるのがとても難しいです。文字の練習をしながら、手本との違いに悩まれたことがある方も多いと思います。
私はスペンセリアンの教則本として、 C.P. Zaner 著『Lessons in Ornamental Penmanship 』1948年版を使用していますがその本の中に、ポインテッドペンだけではなく、すべての書体に共通して言えることが書かれてあったので、一部ですがご紹介したいと思います。

「練習を始める前に、十分にしっかりと注意深く、文字の形を認識、理解する、つまり知覚することが大切です。不十分な認識では不十分な文字しかかけません。私たちは、円や四角形を描きなさい、と言われれば、それらの形をイメージすることができ、描くことができます。同じことがスペンセリアンについても言えます。それぞれのカーブ、オーバル、ラインを心にすっきりと描けるくらいに字形を徹底的に理解し、文字の構成要素が、円や四角形のように本質的になじみのあるものにする。まずはしっかりと文字を見ることです。アイトレーニングは手を動かすことと同じくらい重要です。」